大型類人猿保全について

訃報

大型類人猿保全計画日本委員会・GRASP-Japan代表を務めておられました西田利貞先生が、平成23年6月7日ご逝去されました。
享年70。 先生のご冥福をお祈りいたします。

西田利貞先生について
日本の霊長類学者。京都大学名誉教授、日本モンキーセンター所長を務め、大型類人猿保全に努められた。
(理学博士。1941年千葉県市川市生まれ。1963年京都大学理学部動物学教室卒業、1969年京都大学大学院理学研究科部動物学専攻博士課程修了。
1965年以来、アフリカのタンザニアで野生チンパンジーの行動学的・社会学的研究に従事。ほかに、ニホンザル、ピグミーチンパンジー、アカコロブス、焼畑農耕民を研究。
1969年12月東京大学理学部人類学教室助手、同講師、助教授を経て、1988年4月京都大学理学部動物学教室教授。2004年3月京都大学大学院理学研究科停年退官。2004年4月京都大学名誉教授、(財)日本モンキーセンター所長。国際霊長類学会会長(1996‐2000)、日本霊長類学会会長(2001‐2005)、国連環境計画(UNEP)大型類人猿特別大使(2001‐)、マハレ野生動物保護協会会長(1994‐)などを歴任。研究歴:1963‐74年、野生ニホンザルの生態学的研究。1965年以来、タンザニアで野生チンパンジーの行動学的・社会学的研究に従事。他に、ピグミー・チンパンジーの予備調査、アカコロブスの採食行動、バンツー系焼畑農耕民の予備調査など。受賞:ジェーン・グドール賞(1990)、大同生命地域研究奨励賞(1995)、国際霊長類学会生涯功労賞(2008)。また2008年秋には人類起源研究の分野で最高の賞とされるリーキー賞を受賞。大型類人猿保全計画日本委員会・GRASP-Japan代表を務める。


大型類人猿保全について


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大型類人猿、つまりゴリラ、チンパンジー、ボノボ、オランウータンは、人類の最も近い親戚なので、ヒト科に分類されています。
彼らは高い知能をもち、豊かな社会生活を送っています。
強い好奇心を示し、仲間の気持ちに共感し、苦痛に同情します。
母親を失った孤児を、一人前になるまで育てることもあります。
連合関係を結ぶ一方、ライバルの連合形成を妨害します。
道具の使用はもちろん、生薬を使って寄生虫を駆除している可能性もあります。
地方ごとに異なる文化があります。
このように、大型類人猿は、人間と他の生物が連続した存在であることを示し、人間が他の生物と共存することの重要性を教えてくれます。

しかし、その大型類人猿が絶滅の危機に瀕しています。
生息地の森林の農地への転換、木材の伐採、鉱物資源の採掘、食肉やペットとしての利用などにより、かれらの個体数は急激に減少し、今や自然状態下で生息する大型類人猿の各種は、それぞれ2万頭から11万頭と推定されているのです。生息地が分断されているため、類人猿の個体群が遺伝的に劣化する恐れもあります。

この貴重な生物を守るため、国際連合環境計画UNEPは、大型類人猿保全計画(GRASP=GReat Apes Survival Project)を2001年9月に立ち上がりました。

世界各地の自然保護NGOの活動の統合を目指すとともに、人間と類人猿の共存をはかる、より実践的な新しい試みが期待されます。
たとえば、かれらを絶滅から救うには、既存の国際法、国内法の遵守を徹底するよう類人猿生息国に迫るだけでは十分ではありません。
生息地に住む人々の社会的・経済的問題を解決しないと、類人猿を絶滅から救うことはむずかしいのです。
密猟や違法な森林伐採を防止する活動とあわせて、地域住民に対する環境教育や、類人猿の肉を販売しないでも生活できるような代替産業の開発も必要です。



ゴリラ調査隊がアフリカへ遠征して以来50年近く、日本の学者はアフリカとアジアの各地で大型類人猿を研究しています。現在その調査地はタンザニア、ウガンダ、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国、ガボン、カメルーン、ギニア、インドネシアと、大型類人猿が生息する主要な国のほとんどをカバーしており、これほど長期にわたって広範な研究活動を展開している国はほかにはありません。

またその活動内容も、類人猿の行動や生態の研究だけでなく、熱帯林の生態系の調査、森林と動物の保護活動、共存を支えるための地域環境教育と、多岐にわたっています。

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