| ウガラ地域 |
「タンザニア共和国ウガラ地域における監視小屋建設計画」
チンパンジー分布域の東限にあたるウガラ(ニエンシ)地域では、近年活発な人間活動に拍車がかかり、 チンパンジーだけでなく貴重な動植物の減少が顕著になりつつある。その過酷な環境ゆえに一時は無人化した原野も、 不法な樹木伐採、新たな農耕地の開墾、密猟、それらに伴う野火の発生などが頻繁に見られる。これらの活動はいずれも違法行為であり、 それを阻止するための本格的かつ火急な監視体制の実現が必要である。
活動報告(2012年3月28日)
本年度は,密伐・密猟の監視トレーニングを終えた6名のスタッッフが,継続的な監視活動を実践した。
今回の監視活動は8〜10月の乾季3ヵ月と,11〜3月の雨季5ヵ月の約7.5ヵ月間、監視スタッフが監視小屋の設置されている
ングエ・キャンプに常駐し,約80km2の範囲をパトロールして密猟者の摘発や罠の撤去をおこなった。
常駐する数週間前,スタッフが事前視察のために短期間ングエを訪問したが、その際、50人以上の集団が多数の犬を連れ,
狩猟にきているところに遭遇した。スタッフは彼らに「ここは狩猟禁止区域である」旨を伝え、注意を喚起した。
また、密猟者が在住する村を問いただしたところ複数の村名が挙がり,近隣のいくつかの村の住人が集団を作って
密猟に来ていたことがわかった。彼らは違法行為をしていることを認識しているらしく,スタッフを見かけると慌てて
森林の内部へ逃げ隠れる密猟者もいた。また、彼らはキイロヒヒの頭部3個を自転車に括り付けており運んでおり,
所有していた麻袋の中には他の獲物も入っていたようである。
今回の常駐監視時には,上述のように大規模な狩猟は無かったことから、監視スタッフがフィールドを巡回し、
注意喚起することで一定の効果が得られている。しかし,2〜10人程度の小規模な密伐や密猟は行われており、
パトロール中のスタッフが密猟現場に遭遇し、獲物を回収した事例もあった(写真1)。
この時は、3人組みの密猟者がくくり罠を仕掛けており,回収したブルーダイカーの後肢足首には深い傷がついていた。
罠に掛かったブルーダイカー
8か月間の継続監視によって、この地域で伐採者・密猟者がよく利用する狩猟場やキャンプサイト、 罠の種類、また過剰伐採によって新たに対象となりつつある伐採木などが把握できた。 今後は,こうしたデータを参考に,パトロールの重点地域を絞り込み,より効果的なパトロール方法を検討する予定である。 その一方で、新たな監視スタッフをトレーニングし、より広範かつ長期継続的な監視体制を築いていきたい。
伐採対象木を記録するスタッフ
活動報告(2011年5月2日)
今年度は、まず、建設許可の申請のために、建設予定地を含む州一帯を管轄しているキゴマの事務所 にて手続きをおこなった。申請書には、監視システムに関する説明書類、これまでの現地での研究成果、 具体的な建設予定置の地図、監視小屋の設計図を添付した。許可書を取得後、建設予定地の近隣の町に あたるウビンザの管轄事務所に出向きこの許可書を提出した。ここで町の代表者たちを集めて会議をお こない、ウガラ地域の森林内で伐採等の違法な人間活動がおこなわれている状況について説明し、監視 小屋を建てる意義を理解してもらった。その上で、出席者全員から同意署名を得て手続きを完了した。
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建設にあたっては、近隣の町から専門の技術者を現場に呼び寄せ雇用した。過度の 肉体労働を要するため、他に13 人の補助アシスタントも雇用した。床にコンクリー トを打ち、壁にはレンガを積み上げた。町から通勤できる距離ではないので、建設期 間中、労働者には森の中にテントを張って滞在してもらった。われわれ日本人は作業 補助、および彼らの仕事の現場監督を行った。 監視小屋の存在は、違法な伐採や密猟、開墾などを目的として森に入ってくる者たち の行為を戒める効果が期待される。

また、前年度、違法伐採等を取り締まるための巡回監視トレーニングをおこなったメン バーの内2名に、この期間中建設予定地から徒歩圏内の巡回をさ せた。ほかに、日本人と2 名のアシスタントは広域の監視と現状 把握を目的にウガラ地域一帯を車で巡回した。これにより、違法 伐採や罠がどのエリアで、どの程度発生しているかを調ると共に、 取締強化を印象づけた。
活動報告(2010年1月13日)
前年、この地域を管轄するキゴマの自然管理事務所を訪れた際、監視にあたってはスタッフが一定期間ごとに交代するローテンションシステムを取り入れるのがよいだろうというアドバイスを受けた。そこで今年度は、監視スタッフの人選とトレーニングをおこなった。 スタッフは、自転車で1日以内に監視小屋建設予定地であるングウェ地区へ到達できるムワミラ村とカズラミンバ村の村人から選抜した。人材としては、同地の地理・地形に詳しく、動植物の知識に長けており、健康で誠実な成人男性を対象とした。 すでに廃村となってしまったが、かつてングウェ地区の近くにはキサトという村があった。キサト村に住んでいた人々は、現在、ムワミラ村やカズラミンバ村に移り住んでいる。彼らは監視小屋建設予定地周辺の地理に詳しく、この地域でチンパンジーに何度も遭遇した経験をもつ貴重な人材である。そこで、キサト村出身者を中心に、監視スタッフの仕事を希望する者を集めた。植物樹種同定テストや面接を実施して彼らの基礎レベルや人柄をみたあと、年齢、家族構成などを尋ね、監視スタッフ候補者名簿を作成した。その後、彼らと共にングウェ地区に入り、トレーニングを兼ねた監視活動を実施した。
監視スタッフが見回りをして取り締まる項目は、主に伐採、哺乳類の捕獲用罠、畑の開墾など、いずれも違法行為である。事前に日本人研究者がスワヒリ語で作成した記録用紙を配り、見回りと同時に現状の記録もさせた。慣れるまでは日本人が同行して訓練を行い、その後、監視スタッフが2人1組となって見回りをおこなった。
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今回は、ローテションを組む監視グループのリーダー的存在を探すことも目的としていた。同行したメンバーの中でも、キサト村出身者のジョン・ジョゼフとアレックス・アルフレッド(右上写真)はリーダーに相応しい人材であったため、彼らを初回監視メンバーの候補者とする予定である。 現地の人が、監視活動に積極的に参加することは、監視をおこなうメリットだけでなく、現地の人々の自然保全への意識を高めるという面も期待できると考えている。
活動報告(2008年12月25日)
現在、ウガラ地域のングウェ地区に監視小屋を建てるための準備を進めている。本年は、建設資材の購入、建設予定地への資材運搬をはじめた。資材はングウェ地区の近隣の町UvinzaやKazulaminba、Kigomaで現地アシスタントと共に入手した。資材搬入では、悪路でトラックの運行が比較的困難ではあったが、現地の人々の協力により遂行された。
同時に、この地区を管轄しているKigomaの事務所へ出向き、関係者に直前におこなった最新の現地状況調査の結果を交え、監視システムの理解を仰いだ。監視スタッフのトレーニングをおこない、最初のトレーニングを受けたメンバーが新人をトレーニングすること、トレーニング終了後には証明カードを発行することなどのアドバイスをもらった。
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今回おこなった現地状況の調査では、建設予定地に隣接してキャンプサイトを設け、ングウェ地区の人による最近の利用状況を調べた。キャンプキーパーはキャンプ地の近くを通る人の有無を約1ヶ月間記録し、その内15日以上で町から訪れる人を目撃、もしくは町から来た人の声を聞いた。森を踏査しているときには、大量の伐採木を運搬している人達に3度遭遇、使用中のキャンプ地を2箇所目撃した。伐採木の運搬者は、町の警察の目を逃れるため、夜間に Uvinzaの町に到着するよう計算し森を夕刻に出発し帰る者もいた。切り株に加え、一時的に組まれ作られる板の加工場、そこに散在した不要とされた材木の残骸も度々目撃した。
ングウェ地区は町から比較的近いところに位置しており、警察の目の届かない森の中で伐採が頻発している。監視小屋の建設、スタッフの常在を実現し、監視の目を働かせる体制を整えることが急がれる。
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(良質な部分だけ板に加工される) |
活動報告(2008年3月17日)
伊谷原一 (GRASP-Japan理事、林原類人猿研究センター所長)![]() | ![]() |
チンパンジー分布域の東限にあたるウガラでは、近年、活発な人間活動に拍車がかかり、 チンパンジーだけでなく、貴重な動植物の減少が著しくなりつつあります。 その過酷な環境ゆえに、一時は無人化した原野も、新たな樹木の伐採、農耕地の開墾、 密猟、それらに伴う野火の発生などが頻繁に見られます。 これらの活動はいずれも違法行為であり、それを阻止するための本格的かつ火急な 監視体制の実現化を検討しています。
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活動報告(2007年3月12日)
中村美知夫(GRASP-Japan理事、京都大学助手)ウガラでは、密猟、開墾、森林伐採等が活発化しつつあります。開発による裸地化が激しい地域を選定し、JGI-Tanzania/Japanと協力して植樹活動を進めています。この活動には、現地小学生をはじめとする住民が、ボランティアとして参加しています。
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トラックが回収して廻ります。 |
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30-50cmに成長したら植樹します。 |