| ムカラバ国立公園 |
活動報告(2012年3月30日)
竹ノ下祐二(GRASP-Japan理事、中部学院大学)
1. 背景
ガボン南西部のムカラバ・ドゥドゥ国立公園は、豊かな生物多様性をほこり、
大型類人猿をはじめとした希少種が数多く生息する重要な保護地域である。
その一方で、収入源となる産業は乏しく、政府や国際機関が推進するエコツーリズムの導入も進んでいないことから、
地域住民の生活水準は低いままである。そのため、大型類人猿の保護を推進するのに不可欠な地域住民の理解と協力はまだまだ十分ではない。
そこでGRASP-Japan では、2008 年から村人の自立支援と自然保護に対する啓発活動を行ってきた。
2008 年度には地域NGO と連携し、地域住民の自立支援を行う目的で医薬品と学用品の寄付をした。
また日本人研究者が使用していた建物を地域のコミュニティーセンターとして利用した。
2009 年度には地域住民によるエコ・ミュージアム活動として森林モニタリングを住民の手で実施し、
ゴリラ映像上映会など啓発活動を行った。さらに2010 年度には、啓発活動の一環として、
小学生を対象にした絵画コンクールを行った。そのほか、コミュニティーセンターの改善修理をした。
また、村人の自立支援の一環として、獣害対策に必要な物品を援助した。
2. 2011年度の活動
<獣害対策・コミュニティ・プランテーション>
ガボン人研究者と協力して、2010 年度に援助した物品が適切に管理、利用されているかを確認し、
対策の効果や改善策について住民と話しあった。物品の援助を重ねるだけでなく、それを通じて村人のあいだの協力関係を確立し、
自助努力を高めることが重要である点を強調して、今年度は物品の追加援助は行わなかった。
一方で、畑に被害があった場合の補償となる現金獲得や、村人同士の連帯の強化を目的に、
複数の村人が集まって共同で営むコミュニティ・プランテーションを計画し、実施した。
地域の保護活動運営委員会のメンバーが中心になって計画を立て、住民の手によって約2haのサトウキビ畑をひらき、
苗の植えつけを行った。これから収穫が予定されるサトウキビの販売と資金運用の方法については、
ひきつづき住民との話し合いを重ねながら検討する。
<上映会>
恒例行事として、2011 年末にゴリラや他の野生動物の上映会を村で実施した。老若男女を問わず、
村の大勢の人びとが集まって大盛況であった。まず、NHK 制作の『ダーウィンが来た! ― 第252 回・
思いやりいっぱいゴリラの大家族』を上映し、研究者や現地アシスタントが解説した。また、研究者が
撮影したゴリラやゾウなどの映像を見せながら、ムカラバの生態系の説明をした。ひしめきあうほど大勢
あつまったこどもたちが、喰い入るように映像を観て、場面ごとにうれしそうに反応していたのが印象的だった。
<学用品の援助>
2011年9月からの新学期に向けて、ドゥサラ村にある小学校に学用品を寄付した。
活動報告(2011年5月2日)
竹ノ下祐二(GRASP-Japan理事、中部学院大学)
1. 背景
ガボン南西部のムカラバ・ドゥドゥ国立公園は、大型類人猿をはじめ数多くの希少種が生息す
る重要な保護地域である。その一方で、地域住民の収入源となる産業は乏しく、政府や国際機関
が推進するエコツーリズムの導入も進んでおらず、地域住民の生活水準は低いままである。その
ため、近年になって保護活動と住民生活のコンフリクトが顕在化しつつある。とくに大きな問題に
なっているのが、動物による畑荒らし=獣害である。将来的に地域住民と強調してムカラバのゴ
リラ・チンパンジーおよび生物多様性の保全を推進するためには、
(1)有効な獣害対策の検討と実行
(2)村人の自立支援
(3)地域住民への啓発活動
(4)将来のエコミュージーアムに向けた準備
が不可欠である。
2008年にはドゥサラ村の地域NGO と連携し、地域住民の自立支援を行う目的として医薬
品と学用品の寄付をした。また日本人研究者が使用していた建物を地域のコミュニティーセンタ
ーとして利用した。2009年には地域住民によるエコ・ミュージアム活動として森林モニタリングを
住民の手で実施し、ゴリラ映像上映会など啓発活動を行った。獣害対策に関しては2008年から
住民への聞きとり調査と獣害のモニタリング調査をおこない獣害状況の把握につとめ、有効な獣
害対策について検討した。
2. 2010年度の活動
(1、2)獣害対策および住民の自立支援
これまでの調査と討論から、住民自身が畑に泊まりこみ見張りを行うことが有効で持続的な獣
害対策であることが確認された。そこで見張り小屋と畑仕事に必要な物品(トタン、ランプ、山刀、
斧など)を購入し住民に供した。物品の購入に先立って各村の代表者および地域の保護活動運
営委員会のメンバーによる会合を開きき、住民自身が主体的に見張り計画と必要を行うよう促し
た。次に、会合で出された提案をもとに購入品と分配先のリストを作った。加えて、購入した物品
の分配は運営委員会が中心となっておこない、研究者がそれをサポートする体制をとり、住民の
自立を促した。
今後は、ガボン人研究者と協力して物品の利用状況を確認するとともに、住民同士の協力体
制が確立されているかを見極め、必要に応じて追加の援助を検討したい。
(3)村人への啓発活動:絵画コンクールの実施
GRASPJapan
として地域の子どもたちによる動物絵画コンクールを構想していたが、まったく
偶然、ドゥサラ村の小学校長も同じ構想を持っていることがあきらかになった。そこで、校長の提
案を受けるかたちで、子どもたちの自然への意識を高め保全について考える機会を得る目的で、
絵画コンクールを実施し、画材やコンクール開催のための画材、賞品の援助を行った。計48人の
児童が参加し、ゴリラやゾウ、バッファローなど多くの動物を生き生きと描いた。また各賞を選ん
だ大人たちも子どもの絵を通じて自然や保全について考える機会を得ることができた。すべての
絵はドゥサラ村に展示した後、80km離れたチバンガの町でも展示し、町の子供たちにも公開し
た。このことは、地域住民による周辺地域への啓発活動という意味合いを持ち、エコミュージアム
活動の端緒となる重要な意義があったと考えている。今後は絵画教室の開催や野生動物のビデ
オ鑑賞会も考えている。
(4)コミュニティセンター(エコミュージーアム)の修繕
将来的なエコミュージーアム開設に向けて、本や資料、標本の展示ができるようコミュニティ
ーセンターの修善・補強を行った。具体的には壁と屋根の隙間を埋め、壁にセメントを塗ることで
雨水が入ったり壁土が流れおちるのを防いだ。今後はエコミュージーアムの内容について地域住
民と話し合いの場を持ち、さらに拡充化を目指す予定である。
活動報告(2010年1月25日)
竹ノ下祐二(GRASP-Japan理事、中部学院大学)
1. 背景
ガボン、ムカラバ国立公園北部に隣接するドゥサラ、ブング、コンジの3 村には、かつて伐採会社の基地が
おかれ、村人は伐採会社の雇用によって現金収入を得る生活を送っていた。しかし、伐採会社が撤退し、ムカ
ラバが国立公園化された後は、代替経済手段を得られず、村人の生活は退廃している。政府や国際機関がエコ
ツーリズムを導入するための調査を行なったが、本格的な導入に至っていない。
こうした状況のなか、地域住民と協調してムカラバのゴリラ、チンパンジーおよび生物多様性の保全を推進
してゆくには、村人の自立支援、村人への啓発活動、将来のエコツーリズム導入のためのキャパシティ・ビル
ディングが不可欠である。とりわけ、村人の自立支援は、将来にわたってかれらと類人猿が平和的に共存して
ゆくための必須条件といえる。
2008 年には、ドゥサラに設立された地域NGO「ディノンガ」と連携し、地域住民の自立支援をおこなう目
的で、地域の人々へ医薬品と学用品の寄付をした。また、これまで日本人研究者が使用していた建物を地域の
コミュニティセンターとして供出し、拡充を行なった。
2. 2009年の活動
2009 年は、コミュニティセンターを拠点とした、地域住民によるエコ・ミュージアム活動にとりくんだ。具
体的には、国立公園におけるドゥサラ周辺の地域の森林モニタリングを、住民の手で実施した。また、随時、
住民に対してゴリラの映像上映会など啓発活動を継続した。医薬品、学用品に関しては、追加の協力要請がな
かったため、本年は寄付を見送った。
ドゥサラには、ディノンガのほかに、エコツーリズムの推進と国立公園管理への協力を目的とした別のNPO
が存在するが、昨年まで目立った活動をしていなかった。2009 年になり、WWF などの後押しをうけ、試験的
に観光客を受け入れるなどの活動をはじめ、われわれに対しても、人的、技術的、資金的協力の依頼が来るよ
うになった。ディノンガを含め、地域NPO との連携のしかたを再考する必要がある。
2009 年9 月より、国際協力機構(JICA) による国立公園保護事業が開始され、われわれ日本人研究者も専門
家として事業に参加することとなった。それにともない、GRASP-Japan の活動目的を達成するための活動の
いくつかは、JICA の事業に包摂することが可能となる。
今後は、他の保全プロジェクトとの分業を意識し、大きなプロジェクトの手が届きにくい部分、具体的には、
医療支援、教育支援といった、住民が現在生活で直面しており、すぐに対応が必要な活動に重点を置いてゆき
たい。
活動報告(2008年12月23日)
竹ノ下祐二(GRASP-Japan理事、中部学院大学)
ガボン、ムカラバ国立公園北部に隣接するドゥサラ、ブング、コンジの3 つの村には、かつてヨーロッパ資
本の伐採会社の基地がおかれ、村人は伐採会社の雇用によって現金収入を得る生活を送っていた。しかし、伐
採会社が撤退し、ムカラバが国立公園化された後は、代替経済手段を得られず、村人の生活は退廃している。
過去に政府や国際機関がエコツーリズムを導入するための調査を行なったが、アクセスの悪さやインフラの未
整備のため、本格的な導入に至っていない。
こうした状況のなかで、地域住民と協調してムカラバのゴリラ、チンパンジーおよび生物多様性の保全を推
進してゆくには、村人の自立支援、村人への啓発活動、将来のエコツーリズム導入のためのキャパシティ・ビ
ルディングが不可欠である。とりわけ、村人の自立支援は、将来にわたってかれらと類人猿が平和的に共存し
てゆくための必須条件といえる。
今年8 月、われわれのかねてからのはたらきかけもあり、上記3 つの村の住民が主体となって、地域活動推
進と自然保護活動、およびエコツーリズムの誘致を主な活動目的とするNPO「ディノンガ」が設立された。そ
こでわれわれは、ディノンガと協力しつつ、地域の活性化と保護活動を推進してゆくことにした。
本年は、計画していた内容のうち、
・地域の人々への医療、教育支援
・地域活動推進のためのコミュニティセンターを設立にむけた、日本人調査隊の建物の拡張
を行なった。
医療支援に関しては、村に駐在する看護師が、われわれの共同研究者であるガボン熱帯生態学研究所(IRET)
の獣医学者と協議し、村で当面必要な医薬品のリストを作成した。リーブルビルで購入し、寄付した。寄付さ
れた医薬品は、ディノンガが保管し、必要に応じて村人に購入価格で販売し、購入代金で補充する体制を整え
た。実際の状況を観察し、さらに必要な医薬品があれば今後追加で寄付する予定である。
教育支援に関しては、村の小学校の先生と協議し、村の小学校に通う子どもに必要な学用品のリストを作成
した。リーブルビルで購入し、寄付した。贈呈式を行ない、単なる援助ではなく、ムカラバの人と自然の共生
のためであることを住民に説明、啓発活動の一環とした。

ディノンガの将来計画に、生活必需品の共同購入や村内市場などの地域活動の拠点としてコミュニティセン
ターの建設がある。これは、われわれの当初計画と合致する。日本人調査隊が拠点とするため建物を建設して
いたが、その後国立公園内の調査キャンプの機能強化を行なったため、村の拠点はほとんど使用していなかっ
た。そこで、これをディノンガのコミュニティセンターとして供することとした。そのために床にセメントを
張るなどの改修を行なった。ここでビデオ上映会などの啓発活動を行なってゆく予定である。
本年は、当初計画のすべてを実施するには至らなかった。来年以降、ディノンガとの協力関係を強化し、計
画の残りである国立公園の見回り活動や、地元の農業、漁業の振興事業も行なってゆきたい。
活動報告(2008年4月17日)
竹ノ下祐二(GRASP-Japan理事、中部学院大学) | |
ゴリラの人づけが進み、より近くで観察できるようになりました。集団の構成もわかり、
個体識別も進んでいます。それとともに、現地調査員たちはいっそうゴリラに愛着を抱く
ようになりました。
その気持ちを伝えるため、近隣のドゥサラ村で調査映像の上映会を行なったところ、
村じゅうの人々に大好評でした。また、GRASP-Japanの活動地域のひとつである、
カフジ・ビエガ国立公園で保護活動を続けているNPO、ポポフ(ポレポレ基金)のメンバーが
ムカラバを訪れ、地域住民と交流を深めました。地域の人々の保護に関する意識の高まりを、
大事にサポートしてゆくことが必要です。
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活動報告(2007年3月12日)
竹ノ下祐二(GRASP-Japan理事、日本モンキーセンターリサーチフェロー)元主体の保護活動を推進するために、ガボンの熱帯生態学研究所やWWFなど国際機関の協力を得ながら、地元の人々とともにゴリラの調査と保護活動を行なってきました。ゴリラの人づけは順調に進んでいます。調査に参加する地元の人々が国立公園の自然についてより深く理解できるよう、トレーニングや討論を行なっています。地元の人によるエコツーリズム推進の動きもでてきました。彼らが、自分たちの得た知見を子どもたちや近隣の人々に伝えてゆくことのできる場と機会を作るとりくみが、これから必要です。
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