| クタイ国立公園 |
「オランウータン保護のための整備計画」
活動報告(2009年1月5日)
鈴木晃(GRASP-Japan理事、日本・インドネシア・オランウータン保護調査委員会 代表)
●はじめに
アジアとアフリカの大型類人猿の保護を目指して設立されたGRASP-Japanであるが、8つあるプロジェクトのうち本事業が唯一、アジアの大型類人猿のために拠出する事業である。オランウータンの保護の問題は東南アジアの熱帯雨林の資源を多く利用する日本人にとっても大いに関係のある問題であり、現地での期待も大きい。とくにインドネシアはオランウータンの生息分布地の約8割以上を占める重要な地域であり、この保護の問題に取り組むことはGRASP-Japanとしても不可避な事項であると考える。マレーシアへの研究費の投入がこれに代価するといった誤った対応ではなく、今後GRASP-Japanとしてもより一層の理解と協力が望まれる。
●クタイ国立公園(T.N.K)との覚書(MOU)と関係会合への出席
本事業は2005年1月にインドネシア森林省、およびクタイ国立公園と当委員会との間でオランウータンの保護に関しての向こう5年間の覚書(MOU)を調印し、これに基づいて実施されている一連の事業の一部である。
クタイ国立公園は、ボルネオ島に初めてのインドネシアの国立公園として1985年に東カリマンタン州に設立されたオランウータンの生息するインドネシアでも特筆すべき国立公園である。一方、国立公園の境界外北部で操業を始めた石炭採掘会社(KPC)の活動の影響のもと、国立公園と住民との間では公園設立以来、常に混乱が続いている。国立公園といえども森林保全およびオランウータンの生息地維持には様々な問題を抱えている。中でも最近(2006年7月以後)の森林の違法伐採はすさまじく、こうした中で、いかに生息環境を保全していくか、MOUのもと関連機関へ働きかけを強めている。2006年3月からインドネシア国は国立公園を今後いかに管理していくかの再検討のために、国会議員(第4委員会所属:森林担当)を含めた調査委員会を立ち上げ、2007年からは具体的に対策に動き出したかに見えた。だが実際は、このような動きが今後どのように動いていくか、まだ実像が見えてこないのが実情である。
違法伐採の動きは、国と地方自治との関係と脈絡の中から生まれてきた現象で、1997~1998年の2回目の大森林火災の原因も、この動きと無関係ではないと私はみている。このような事態に対応して、2008年も8月と11月に国立公園側と数度に及ぶ会談を重ねてきた。先述のMOUの締結は、そもそも現地の混沌とした動きに対応して、森林省本局、自然保護総局から提
案されたものであって、当時の自然保護総局長Kusu氏も署名人の一人であった。しかし、2008年9月には国立公園所長がAgus氏からTandya氏に代わり、これに伴い新所長との間でMOU(覚書)への認識の相違も生じており、今後その調整も必要となっている。なお次年度はMOUの更新の準備も並行して行う予定である。
●オランウータンの保護調査のための長期ステーション建設計画の推進
1983年、1997-1998年の2度に及ぶ森林の大火災の中でオランウータンの利用している森は著しく狭められていると考えられる。しかし2006年に実施したヘリコプター調査をはじめとした一連の調査で、森林の要所要所は良好な森として残されていることが判明している。こうした地域でのオランウータンの巣の残存度は比較的高く、良好な手立てを尽くしていくならば、赤道直下の森林として価値ある森として育て上げていくことができる。こうした判断に基づいて上記MOUは締結され、オランウータンの保護調査活動が続けられている。
具体的な活動
おもな活動は1、クタイ国立公園内地域、2、緩衝地帯 3、北部石灰岩地域の3地域に渡るが、当資金はこのうちの一部、とくに一帯の森林の管理・整備計画に充てられ、前述の国立公園の管理問題を含む国立公園の再編問題、およびこれに関連して北部石灰岩地域での国立公園の新設等に関する事業に取り組んできた(いずれも次年度継続予定)。
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クタイ国立公園内住民集会の会場 | 後日の新聞によると国会第4委員会代表は 鈴木の講演の内容を支持している。 |
